2012年3月6日火曜日

本日の記事(3月6日)

「ソルガム」で農地除染実験 故郷の復興願い徳永さん(いわき市出身)

 【福島県鏡石町で仲村良太】東京電力福島第1原発の事故による放射性物質で汚染された土壌をイネ科の植物「ソルガム」で浄化しようと、農業ベンチャーのアースノート(名護市)は福島県内で実証実験を進めている。実験ではセシウム吸収量が最大でヒマワリの約200倍に達する品種が見つかった。いわき市出身の徳永毅社長(53)は「長年、沖縄でソルガムを研究してきた。今度は故郷のために生かしたい」と奮闘している。

 「米、野菜を作っても売れない」。原発事故後、農産物が豊富にとれた福島が放射能汚染の被害を受けている様子を目の当たりにした徳永社長。ソルガムが土壌からカリウムを多く吸収することから「カリウムと周期が近い元素のセシウムも吸収するのでは」と着目した。

 東大大学院で放射線遺伝学を専攻した徳永社長は効率的に育種できる沖縄で、農作物の品種改良や世代促進の研究を進めてきた。

 ソルガムはアフリカ原産の植物で、成長が速く多様な気候で育つ性質を持っている。茎中には糖が多く含まれるため、収穫後はバイオエタノールの製造が見込まれる。さらに、残りかすは発電機のバイオマス燃料に利用できるという。

 「汚染物質は土壌だけでなく農業生産者の心も汚染した。働きがい・生きがいを失わせ地域社会を崩壊の危機に陥れた。この実証実験で、エネルギー農業を中心としたコミュニティー形成を達成し、雇用を伴う新産業の創出に寄与したい」

 徳永社長は実験の成果に自信をのぞかせる。昨年6月から福島県内3市10カ所の実験では、セシウムを吸収するとされていたヒマワリの最大200倍に達する数品種のソルガムを発見。福島でも5メートル近くまで育つ品種も見つかった。

 ソルガムは容積が大きいほど、土壌のセシウム吸収量も多くなるため、現在品種改良を進めている。4月からは鏡石町の岩瀬牧場の協力で3ヘクタールの農場でソルガムを栽培し、バイオエタノールを生成する第2段階に突入する。「エネルギー農業で日本一、世界一の県にしたい」。生まれ育った福島の復興に願いを込めた。


http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-188309-storytopic-232.html(写真付きの記事)

琉球新報 
2012年3月6日

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